釣りの書籍・雑誌 一覧

shoseki-01.gif何羨録(かせんろく)

現代に伝わる我が国最古の釣りの本といえるのが、この何羨録。著者は陸奥黒石藩三代当主の津軽采女(つがるうぬめ)で、亨保8年(1723年)の著といわれている。

内容は、津軽采女が江戸詰めの折り熱中したと思われる江戸前のキス釣りをメーンにした上・中・下の3巻からなる解説。上巻は釣り場の詳解、中巻は釣り具やエサについて、下巻は釣期や天候について。釣り場図や竿、仕掛け図も盛り込まれた実にていねいな内容で、後に出た「漁人道知辺」は、何羨録を模したものといわれるほど。

写真の本書は、釣り具商みすや針主人・中村利吉写本(明治21年)の復刻版で、上中下を1巻にまとめた釣り文化協会発行(1981年)のもの。 
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shoseki-02.gifアングリング イン ジャパン

昭和15年、当時の(財)国際観光協会が発行した日本の釣りの英文案内書。奥づけに記されてはいないが、著者は「釣技百科」「写真解説・日本の釣」などでおなじみの大御所・松崎明治。小はタナゴ、ワカサギから渓流のヤマメ、そしてイシナギなど船の大物釣りまで要領よくまとめられているほか、竿やウキ、ハリ、釣具店の様子など日本ならではのものが、写真や図入りで分かりやすく解説されている。

また、観光協会の発行だけに日光、松島、十和田湖や日本アルプスと当然のように観光ガイドも盛り込まれている。

なお、表紙はあの伊東深水画伯によるもの。
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shoseki-03.gif釣狂五十年(正・続)

明治から昭和初期にかけて釣りの世界で名が知られたという松岡文翁(文太郎)による昭和8年著の釣り解説書。

正では魚の習性から釣りの10か条、フナ、アユのドブ釣り、釣り堀、ハゼ釣りを収録。釣り10か条での季節、日並み、潮時、場所などの金言は現代にも通じるものが多くある。続では、釣りの面白味、6大条件のほか手長エビ、セイゴ・スズキ、ボラ、ナマズ、ハヤ、ヤマメ釣りの釣り方解説のほか、カイズ、タナゴ釣りについてはそれぞれの名士による文を引用して紹介。いずれも数学者という著者ならではの律義そうな人格が、その文ににじみ出ている。

正続の原本のほか、アテネ書房の復刻本も収蔵。

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shoseki-04.gif釣鉤図譜

本書は、昭和53年、渓水社発行の復刻版だが、原版は明治22年、釣具商みすや針主人・中村利吉の著作と推定されている。 この中村利吉は、何羨録写本でも知られ、その他、明治28年完成の「日本水産捕採誌」の編者であり水産伝習所の漁労学教師をも務めたという。

さて本書は、日本全国の釣り鈎を同タイプごとに図で紹介してある。大型のものでは、小笠原のサメ釣り用から、クエ・イシナギ用など漁業に使われたものから、ブリやカツオ用の角(ツノ)、各種餌木からイカやタコ用のツノ、テンヤなど実に豊富。さらには遊漁用のタナゴバリや毛針まで、よくぞ調べたと感心するほどの濃い内容。

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shoseki-05.gif「竿忠の寝言」「竿忠七周年追善句集」

和竿職人として東作(三代目)、竿治とともに明治の3名人の1人として教えられた初代竿忠こと中根忠吉の生涯と明治~大正期の庶民の生活などを盛り込み、孫の三代目音吉の口述(沢村芳太郎筆記)によってまとめられたのが「竿忠の寝言」。昭和6年、非売品として400部発行された原本と、四代目・中根喜三郎氏による「寝言以後」を付け加えた文治堂書店発行の復刻本も所蔵。

もう一冊の「七周年追善句集」は、昭和11年、初代七回忌の折に交流のあった著名人からの書、句などをまとめたもの。二代目・仁三郎の竹づくしの挨拶文「今日竹翁の七回忌...芝竹は竹々涙に呉れ竹れど...養老竹御四季竹の程を...」が傑作。

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shoseki-06.gifつり雑誌「釣の研究」「水之趣味」

大正15年から昭和18年ごろまで発行された、釣り雑誌が「釣の研究」。途中から"の"が"之"に変更されているが、年を追うごとに増ページされ、昭和16年がピークで、当初30ページほどで15銭だったものが、176ページで60銭にまでなっている。19年1月号(18年12月発行、92ページ)は所蔵しているが、その後いつまで発行されたかは不明である。大正15年から昭和17年までの合本と一部を所蔵。

「水之趣味」は昭和8年発行され、戦後も復刊された釣り雑誌。

ともに当時の釣りと釣り界の様子が、豊富に掲載されている広告も含め推察できる。水之趣味の方が随筆などやや多い編集内容(戦前の場合)となっている。

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