何羨録(かせんろく)
現代に伝わる我が国最古の釣りの本といえるのが、この何羨録。著者は陸奥黒石藩三代当主の津軽采女(つがるうぬめ)で、亨保8年(1723年)の著といわれている。
内容は、津軽采女が江戸詰めの折り熱中したと思われる江戸前のキス釣りをメーンにした上・中・下の3巻からなる解説。上巻は釣り場の詳解、中巻は釣り具やエサについて、下巻は釣期や天候について。釣り場図や竿、仕掛け図も盛り込まれた実にていねいな内容で、後に出た「漁人道知辺」は、何羨録を模したものといわれるほど。
写真の本書は、釣り具商みすや針主人・中村利吉写本(明治21年)の復刻版で、上中下を1巻にまとめた釣り文化協会発行(1981年)のもの。